銘柄分析

シスコシステムズ(CSCO)の業績と株価パフォーマンスを分析。長期投資における展望は?

2000年のITバブルで名を馳せたシスコシステムズってNYダウにも選ばれているけど、投資先としてどうなのかな?。

シスコ・システムズって割と有名だけど、投資する前に事業内容や業績を押さえておきたい。

ここでは、そんな人たちに向けて、米国の通信機器大手である、シスコシステムズ(CSCO)の事業内容や財務数値を分析していきます。

銘柄を選ぶ際のヒントに少しでもなれば幸いです。

この記事では、シスコシステムズが長期投資に適しているか、以下の点から分析します。

シスコシステムズの事業内容、競争優位性
シスコシステムズのこれまでの業績
配当を含むこれまでの投資リターンや株価の考察

その他の銘柄に関する分析はこちらから

自己紹介

YY

ブログ運営者のYYです。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国個別株やインデックスの長期投資を中心に運用しています。会計士の知識を生かした個別株の銘柄分析や、自身の失敗を踏まえた長期投資での気づなど、役立つ情報をブログにまとめていますので、よろしければ他の記事もご覧になってください。

分析の前提・注意点

この記事に記載した内容は、私個人ができる範囲で調べた情報を載せ、個人的な意見をまとめたものであるため、参考として、エンタメ的に楽しんでいただければと思います。
こちらの記事をきっかけに興味を持った銘柄があれば深掘りして調べていただき、より理解が深まれば幸いです。

使用した情報・分析手法は、年次報告書に記載されている決算数値や、一般に公表されている情報を用い、シンプルな分析を行っています。正確でない用語や数値が使われているかも知れませんが、ご容赦ください。

四半期の数値は短期の変動やブレが入るため、考慮していません。

紹介した銘柄について、将来の業績や株価についての言及がある可能性がありますが、その業績や株価を保証するものではありません。
また、その銘柄の保有や売買を勧めるものでは無く、売買はご自身で判断ください。

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結論

まず、この銘柄が長期保有に適しているか、これからお話しする内容を踏まえた結論から言うと、

他のテック銘柄のような成長は期待できないが、配当利回りは高め。ただ、配当狙いなら競争優位性と実績がある他の銘柄を選びたい

(ポイント)
通信機器、セキュリティなどシスコの中核事業は競合が多い
売上はここ数年ほぼ横ばい
投資リターンはS&P500と同程度。配当利回りは約3%と高め

と考えています。

配当狙いで行くなら、例えばこういったブランド力が高く業績が伸びている銘柄を選びたいところです。

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あくまでも、私個人の意見である点はご理解ください。

判断の理由や具体的なポイントについては、以降でお話します。

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事業の分析

ここでは、企業情報や事業構成などの事業内容について分析します。

ポイント:
競合がひしめくコンピュータ・通信機器関連の大手

企業情報

業種テクノロジー、通信機器
ティッカーCSCO
取引市場NASDAQ
採用指数ダウ工業株30種、S&P500、ナスダック100
時価総額2,023億ドル
決算期7月
創業1984年
上場1990年
本社所在地カリフォルニア州、サンノゼ
CEOチャック・ロビンス
従業員数83,300人

米国マーケットを代表する株式指数であるダウ工業株30種平均の構成銘柄には、2009年に採用されました。

事業内容

シスコシステムズは通信機器やセキュリティ、データセンター、クラウドなど、コンピューター・ネットワークに関するあらゆる製品やサービスを提供しています。

同社の収益区分は、2022年より製品別区分からソリューションカットに変更されています。

ただ、こうしたインターネット通信の最適化やセキュリティといった今後力を入れていくサービスはありつつも、依然として収益の柱は、ルーターやスイッチ、ワイヤレスアクセスポイントなどの通信機器であると考えられます。

(同社の年次報告書より作成)

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業績の分析

ここではシスコシステムズの過去の財務諸表から業績を分析していきます。

ポイント:
売上はここ数年は伸びていないが、利益は少しずつ成長

※ことわりが無い限り、以降の数値データは年次報告書(10-K)の情報を使用しています。

売上は伸びていないが利益は緩やかに成長

2022年までの過去20年間の売上・純利益などの主要な損益指標を見ていきます。

長期の傾向を見ると、業績は全体として緩やかですが右肩上がりで成長しています。

この20年間で売上は約2.5倍、当期純利益は約3倍の水準になりました。

ただ、2013年頃から売上はあまり伸びていません。

後ほども触れますが、シスコシステムズが生業とするコンピュータ・通信関連分野は極めて競争が激しいことが影響していると考えられます。

① EPSは20年間で約5倍

EPSは20年間で約5倍に上昇しています。

当期純利益の伸びよりも大きいのは、自社株買い(1株当たり当期純利益計算の分母になる発行済み株式数が減少)を積極的に進めているためです。

② 利益率は概ね安定

次に、過去20年間の利益率(下の3指標)を見てみます。

  • 粗利益率:(売上-売上原価)÷売上
  • 営業利益率:営業利益(売上利益 ー 販管費)÷ 売上
  • 売上純利益率:当期純利益 ÷ 売上

他社との競争による値下げやコスト増加など、競争優位性に大きな問題が生じていれば、利益率にも変化が出てくると考えられます。

利益率は概ね安定しています。

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③ トランプ減税の影響で2018年は税負担増加

細かい点ですが、2018年の純利益の減少は、税金費用の増加によるものです。

この年の12月、米国では減税・雇用法(いわゆるトランプ減税)が成立し、米国企業の法人税率が35%から21%に大きく引き下げられた一方で、国外のグループ会社に留保する利益剰余金に対して一時的な課税がなされました。

これにより、税金費用が一時的に大きく増加していますが、長期的な収益力に影響するものでは無いと考えられます

投資リターン・株価の分析

最後に、投資リターンについて整理します。

ポイント:
10年以上の長期ではS&P500指数とほぼ同じリターン
ただし、テック銘柄としては物足りない
配当利回りは3%程度あり高め

長期のリターンはS&P500指数と同程度

ここでは、2022年12月までの配当込みの投資リターン(チャートは月足)をS&P500指数などと比較します。

2022年12月までの5年、10年、20年のいずれの期間でもS&P500指数とそれほど変わらないパフォーマンスです。

テクノロジー指数には大きく劣後していますが、アップルやマイクロソフトなど驚異的な成長を見せた大型テックがテクノロジー指数には入っていますので、これは仕方ないところでしょう。

銘柄・指数5年10年20年
シスコ+36%+223%+416%
S&P500+44%+172%+376%
テクノロジーセクター指数(XLK)+110%+435%+1,132%

【投資期間5年】

ここ5年間ではテクノロジーセクターから劣後していますが、S&P500指数とは大きな差はありません。

(Trading Viewより)

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【投資期間10年】

(Trading Viewより)

【投資期間20年】

(Trading Viewより)

配当利回りは高め

2023年5月時点での予想配当利回りは約3.1%と高めです。

下のグラフは、過去20年間の1株当たり当期純利益(EPS)と1株当たり配当の推移を示したものです。

配当の支払いは2011年から開始し、増配を続けています。

概ね利益の50~60%が配当に回っており、安定しています。

現在の株価と今後の見通し

シスコの2023年6月現在の予想PER(2024年の予想EPSに基づく)は約12倍で、成長期待がそれほど高くないためか、S&P500指数の17~18倍よりも割安な水準です。

また、PERが150倍近くあった2000年のITバブルの頃から大きく落ち込み、歴史的な水準から見てもそれほど割高ではないように見えます。

(koyfinより)

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爆発的な成長は期待できないか

シスコシステムズはこれまで緩やかな業績とその伸びに見合った株価の成長を見せています。

また、主力である通信機器だけでなく、セキュリティ、データセンター、クラウドなどの周辺領域でも、アマゾンやデルといった大手やサービスに特化した競合がひしめいています。

領域主な競合先
通信機器アリスタ・ネットワーク、ジュニパー・ネットワークス、
ブロードコム
セキュリティクラウド・ストライク、チェック・ポイント・ソフトウェア、
フォーティネット、パロアルト・ネットワークス
データセンターデル・テクノロジーズ、HPテクノロジーズ
クラウドアマゾン・ウェブ・サービス、HPテクノロジーズ、
マイクロソフト

(同社の年次報告書より作成)

差別化が難しいこれらの領域での厳しい競争環境と、同社のこれまでの成長を踏まえると、今後の業績や株価の急成長は期待できないように思います。

まとめ

ここまで、シスコシステムズの事業内容、業績、投資リターンと、今後の見込みについて見てきました。

総合すると、業績は近年はあまり伸びておらず他のテック銘柄のような成長は期待できないものの、配当株として見る分には3%の利回りもあり良さそうです。

ただし、配当の原資となる利益を積み上げる上で、コモディティ化しやすいこの分野では競争優位性の確立が特に難しいように思います。

そうした場合に、配当狙いで敢えてこの銘柄を買うよりも、例えばコカ・コーラやマクドナルド、P&Gなど、競争力があり着実に利益が伸びている他の銘柄を選びたいと考えています。

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このような銘柄分析のほか、銘柄の選び方や投資の勉強方法など、投資を始めたばかりの方に向けて有益な情報をまとめています。

ぜひご覧ください。

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