スターバックスって日本で人気あるし、投資してみたいんだけどどうかな。
スターバックスはコロナでだいぶ影響を受けたみたいだけど、業績は回復してる?
ここでは、そんな人たちに向けて、世界最大のコーヒーチェーンであるスターバックス・コーポレーション(SBUX)の事業内容や財務数値を分析していきます。
銘柄を選ぶ際のヒントに少しでもなれば幸いです。
この記事では、スターバックスが長期投資に適しているか、以下の点から分析します。
● スターバックスの事業内容、競争優位性
● スターバックスのこれまでの業績
● 配当を含むこれまでの投資リターンや株価の考察
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自己紹介
ブログ運営者のYYです。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国個別株やインデックスの長期投資を中心に運用しています。会計士の知識を生かした個別株の銘柄分析や、自身の失敗を踏まえた長期投資での気づなど、役立つ情報をブログにまとめていますので、よろしければ他の記事もご覧になってください。
この記事に記載した内容は、私個人ができる範囲で調べた情報を載せ、個人的な意見をまとめたものであるため、参考として、エンタメ的に楽しんでいただければと思います。
こちらの記事をきっかけに興味を持った銘柄があれば深掘りして調べていただき、より理解が深まれば幸いです。
使用した情報・分析手法は、年次報告書に記載されている決算数値や、一般に公表されている情報を用い、シンプルな分析を行っています。正確でない用語や数値が使われているかも知れませんが、ご容赦ください。
四半期の数値は短期の変動やブレが入るため、考慮していません。
紹介した銘柄について、将来の業績や株価についての言及がある可能性がありますが、その業績や株価を保証するものではありません。
また、その銘柄の保有や売買を勧めるものでは無く、売買はご自身で判断ください。
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結論
まず、この銘柄が長期保有に適しているか、これからお話しする内容を踏まえた結論から言うと、
これまで世界中での店舗展開により業績・株価を大きく伸ばしてきたものの、今後もこれまでのような大幅な成長余地があるか懸念あり。
(ポイント)
● 世界中での店舗展開とともに業績拡大。S&P500を大きく上回るリターン
● 今後は重要地域である中国が成長のカギ
● ただし、その他の地域も含めて大幅な成長余地があるか個人的には懸念
と考えています。
一般消費財のジャンルで言えば、個人的にはTJXの方が買いたいです。
あくまでも、私個人の意見である点はご理解ください。
判断の理由や具体的なポイントについては、以降でお話します。
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事業の分析
ここでは、企業情報や事業構成などの事業内容について分析します。
ポイント:
● アメリカ、中国を中心に世界中でコーヒーショップを35,000以上展開
企業情報
業種 | 一般消費財、レストラン |
ティッカー | SBUX |
取引市場 | Nasdaq |
採用指数 | S&P500、NASDAQ100 |
時価総額 | 1,131億ドル |
決算期 | 9月 |
創業 | 1971年 |
上場 | 1992年 |
本社所在地 | ワシントン州、シアトル |
CEO | ラクスマン・ナラシンハン |
従業員数 | 402,000人 |
事業内容
スターバックスは、言わずと知れた今や世界最大のコーヒーチェーンで、アメリカ、中国を中心に世界中に35,000以上の店舗を展開しています。
① 圧倒的な店舗数を誇る米国、中国がビジネスの中心
スターバックスはその売上の大半をアメリカ、中国で上げており、全体の80%を占めています。
店舗数もアメリカ、中国が多く、かなり差がある形で韓国、日本、カナダと続きます。
したがって、スターバックスにとって、2023年に入ってからも断続的に行われている中国でのロックダウンは、業績に与えるインパクトはともかく、投資家から敬遠される材料になっています。
② 直営とフランチャイズの2モデルがある
あまり知られていないかも知れませんが、スターバックスは出店地域によって直営店とフランチャイズの2形態で展開しています。
アメリカでは60%近くが直営、中国では2010年代までは両方の形態を採っていましたが、現在は直営に一本化されています。
日本は現在は全て直営店のようです。
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業績の分析
ここではスターバックスの過去の財務諸表から業績を分析していきます。
ポイント:
● 店舗数の増加に伴い、業績は右肩上がりで増加
※ことわりが無い限り、以降の数値データは年次報告書(10-K)の情報を使用しています。
業績は右肩上がりで拡大
2022年までの過去20年間の売上・純利益などの主要な損益指標を見ていきましょう。
下のグラフを見ると、売上は綺麗な右肩上がりで増加しており、これにほぼ比例する形で営業利益、純利益とも増加しています。
なお、2013年の利益の落ち込みは、食品大手クラフトへの賠償金(※)支払費用として約28億ドルを計上したものです。
※1998年にスターバックスのコーヒー販売をクラフトに委託したものの、クラフトが販促に消極的としてスターバックス側が契約打ち切りを打診し、最終的に一方的に破棄。
また、2020年はコロナの影響によるものです。
2022年の利益の前年比での落ち込みは、従業員への賃金支払いアップや新人パートナーの研修など、積極的に人的資本への投資を行ったことが主な要因です。
① アメリカ、中国を中心に店舗を拡大
スターバックスの売上は、概ね店舗に比例して増加しています。
店舗数の伸びを見ると、アメリカはほぼ安定成長に入っており、中国がここ10年で重要な地域になりつつあるといえます。
日本でもだいぶ増えたなという印象はありますが、世界全体で見るとそれほどの割合にはなっていませんね。
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② 利益率は一定水準を推移
次に、過去20年間の利益率(下の3指標)を見てみます。
- 粗利益率:(売上-売上原価)÷売上
- 営業利益率:営業利益(売上利益 ー 販管費)÷ 売上
- 売上純利益率:当期純利益 ÷ 売上
他社との競争による値下げやコスト増加など、競争優位性に大きな問題が生じていれば、利益率にも変化が出てくると考えられます。
スターバックスの利益率は3指標とも大きな変動は無く、一定水準を推移しています。
③ 1株当たり純利益は20年間で約17倍
下のグラフは当期純利益と1株当たり当期純利益(EPS)の推移を示したものです。
EPSは20年間で約17倍の水準になっています。
2003年:0.17ドル → 2022年:2.83ドル
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投資リターン・株価の分析
最後に、投資リターンについて整理します。
ポイント:
● 長期のリターンはセクター平均、S&P500指数を大きく上回る
● 2023年6月時点でPERはそれほど高くない
● 今後は中国がカギ。それ以外に成長余地があるか、個人的には疑問
長期リターンはS&P500を大きく上回るが、ここ数年は並み
ここでは、直近の年度決算月である2022年9月までの配当込みの投資リターン(チャートは月足)をS&P500指数などと比較します。
投資期間20年のパフォーマンスは、+1,700%とS&P500指数やセクター平均を大きく上回っています。
先ほど確認したEPSが20年間で約17倍になっていることを踏まえれば、実力を伴った株価成長といえます。
ただ、コロナによる業績不安、F金利上昇によるグロース株への圧力で、ここ数年の株価は大きく変動しており、パフォーマンスもS&P500とそこまでの差は出ていません。
銘柄・指数 | 5年 | 10年 | 20年 |
---|---|---|---|
スターバックス | +74% | +349% | +1,698% |
一般消費財セクター指数(XLY) | +65% | +255% | +663% |
S&P500 | +50% | +174% | +337% |
【投資期間5年】
(Trading Viewより)
【投資期間10年】
(Trading Viewより)
【投資期間20年】
(Trading Viewより)
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配当利回りは若干高め
2023年6月時点での予想配当利回りは約2.2%で、他のS&P500銘柄と比べると若干高めといったところです。
下のグラフは、過去20年間の1株当たり当期純利益(EPS)と1株当たり配当の推移を示したものです。
配当は2010年から支払を開始しています。
利益が出ていない年もありますが、増配を続けています。
現在の株価と今後の見通し
2023年6月現在の予想PER(2023年の予想EPSに基づく)は約26倍です。
同社のPERはこれまで20~30倍辺りを推移しており、それほど割高ではないように見えます。
① 成長のカギは中国
2022年9月に実施されたスターバックスのInvestor Dayでは、成長のドライバーは中国市場であることが示されました。
2020年時点では64%であった都市部が2030年には75%に、また、2020年時点では約2.4億世帯であった中所得世帯が2030年には約4億世帯になることが見込まれています。
(2022 Investor Day資料から抜粋)
これに伴い、高価格帯コーヒーに対する需要が今後も伸びることが期待されており、2025年までに中国の店舗を9,000に増やすチャンスがあるとしています。
(2022 Investor Day資料から抜粋)
あくまでも「予定」ではなく「機会」であることに留意する必要がありますが、2022年9月末現在の中国の店舗は約6,000であり、これを1.5倍に増やすことができれば業績の伸びも期待できそうです。
ちなみに、2025年までに9,000店舗に達するためには、単純計算で一年で1,000店舗増やす必要があります。
最新の四半期報告書によれば、2023年4月時点での店舗数は約6,240であり、半年前から+240店舗と考えると、達成は結構難しいように感じます。
② 2025年までに15~20%のEPS成長を見込む
また、中国を含む一連の戦略を踏まえ、2025年までに営業ベースのEPSについて年15~20%の成長を見込んでいます。
③ 今後の成長を見極めるポイント
アメリカの著名な投資家ジム・クレイマーは、著書『ジム・クレイマーの株式投資大作戦』の中で、小売業の売り時について、
「(アメリカの)すべての州に出店し終わって、もはや規模成長の余地がなくなった時に来る。そうなった時にはギャップもウォルマートも、コールズもホーム・デポも、そしてリミテッドやトイザラスも、みんな頭打ちになったのだ。」
と述べています。
私は、この考え方は現在のスターバックスを考える際にも使えると考えています。
そうした場合、スターバックスは日本では比較的ブームが過ぎて安定した人気を確立しつつあり、今後は大きな市場という点では中国の残りのマーケットと考えると、成長余地はかなり限られているのではないかと捉えています。
もちろん素人の考えで、専門家の方に言わせれば、スターバックスにはこれからもアジアやアフリカなども含め世界中に潜在マーケットがあるかも知れません。
ただ、個人的にはこれまでのような成長を求めるのは難しいと考えています。
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まとめ
ここまで、スターバックスの事業内容、業績、投資リターンと、今後の見込みについて見てきました。
総合すると、これまで世界中に店舗を展開し業績・株価を伸ばしてきた銘柄だが、今後の成長余地を考えると、これまでのような爆発的な成長は個人的には期待できないと考えています。
このような銘柄分析のほか、銘柄の選び方や投資の勉強方法など、投資を始めたばかりの方に向けて有益な情報をまとめています。
ぜひご覧ください。
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※この記事に記載した内容はブログ運営者の個人的な意見やアイディアを述べたものであり、専門的なアドバイスを示すものではありません。特定の銘柄への投資を推奨するものではなく、投資の判断・実行は自己責任でお願いします。