銘柄分析

アナログ半導体の雄、テキサス・インスツルメンツ(TXN)の決算と株価から読み解く投資のチャンス

テキサス・インスツルメンツの事業内容とか業績が良く分からないから詳しく知りたい。

2023年に入って半導体ってエヌビディアとかだいぶ株価が上がっちゃったけど、他に買える銘柄無いかな。

ここでは、そんな人たちに向けて、半導体大手のテキサス・インスツルメンツ(TXN)の事業内容や財務数値を分析していきます。

銘柄を選ぶ際のヒントに少しでもなれば幸いです。

この記事では、テキサス・インスツルメンツが長期投資に適しているか、以下の点から分析します。

テキサス・インスツルメンツの事業内容、競争優位性
テキサス・インスツルメンツのこれまでの業績
配当を含むこれまでの投資リターンや株価の考察

その他の銘柄に関する分析はこちらから

自己紹介

YY

ブログ運営者のYYです。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国個別株やインデックスの長期投資を中心に運用しています。会計士の知識を生かした個別株の銘柄分析や、自身の失敗を踏まえた長期投資での気づなど、役立つ情報をブログにまとめていますので、よろしければ他の記事もご覧になってください。

分析の前提・注意点

この記事に記載した内容は、私個人ができる範囲で調べた情報を載せ、個人的な意見をまとめたものであるため、参考として、エンタメ的に楽しんでいただければと思います。
こちらの記事をきっかけに興味を持った銘柄があれば深掘りして調べていただき、より理解が深まれば幸いです。

使用した情報・分析手法は、年次報告書に記載されている決算数値や、一般に公表されている情報を用い、シンプルな分析を行っています。正確でない用語や数値が使われているかも知れませんが、ご容赦ください。

四半期の数値は短期の変動やブレが入るため、考慮していません。

紹介した銘柄について、将来の業績や株価についての言及がある可能性がありますが、その業績や株価を保証するものではありません。
また、その銘柄の保有や売買を勧めるものでは無く、売買はご自身で判断ください。

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結論

まず、この銘柄が長期保有に適しているか、これからお話しする内容を踏まえた結論から言うと、

驚異的な利益率改善で業績・株価が大きく成長しているアナログ半導体シェアNo.1銘柄。株価もそれほど割高でなく、半導体銘柄狙いなら買ってもよさそう

(ポイント)
アナログ半導体の世界シェアNo.1
利益率が過去20年間で30%近く改善したことで業績が拡大
長期の投資リターンはS&P500を大きく上回る。PERは23倍程度

と考えています。

あくまでも、私個人の意見である点はご理解ください。

判断の理由や具体的なポイントについては、以降でお話します。

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事業の分析

ここでは、企業情報や事業構成などの事業内容について分析します。

ポイント:
アナログ半導体の世界シェアNo.1

企業情報

業種テクノロジー、半導体
ティッカーTXN
取引市場NYSE
採用指数S&P500、NASDAQ100
時価総額1,566億ドル
決算期12月
創業1930年
上場1953年
本社所在地テキサス州、ダラス
CEOハビブ・イラン
従業員数33,000人

事業内容

テキサス・インスツルメンツは、主にアナログICを設計・製造する半導体企業です。

① アナログ半導体の世界シェアNo.1企業

テキサス・インスツルメンツは、アナログ半導体で圧倒的な世界シェアを誇るNo.1企業です。

② アナログ半導体はデジタル機器に不可欠なパーツ

そもそもアナログ半導体とは何か、少し解説しておきたいと思います。

半導体の分類の仕方は色々あるようですが、大きくはロジック、メモリ、パワー、アナログに分けることができます。

ロジックがデータ処理や機器の制御に、メモリはデータ保存に、パワー半導体は電圧を制御し、機器の省エネに使用されます。

一方で、アナログはこれらの機能を搭載した機器において、音や光、温度といった外部からの情報をデジタル情報に変換し、動作させる機能を持っています。

(日本経済新聞 2022年12月22日記事より抜粋)

半導体といえばロジックやメモリに注目が集まりがちですが、人間がデジタル機器を操作する以上、アナログからデジタルへの変換は必要不可欠な機能であり、アナログ半導体は重要なパーツのひとつといえます。

参考までに、経済産業省が2021年に公表した、世界の半導体市場規模とプレイヤーをまとめた図が、各企業の役割や位置関係を理解する上で分かりやすいので、載せておきます。

図が小さくて見づらい場合は、リンク先から見てみてください。

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業績の分析

ここではテキサス・インスツルメンツの過去の財務諸表から業績を分析していきます。

ポイント:
売上は長期的には緩やかに増加
直近の純利益率は驚異の40%越え。利益率の改善によりEPSが大きく成長

※ことわりが無い限り、以降の数値データは年次報告書(10-K)の情報を使用しています。

業績は長期的に拡大

2022年までの過去20年間の売上・純利益などの主要な損益指標を見ていきましょう。

下のグラフを見ると、売上は緩やかな増加で2003年から2022年までの20年間で約2倍程度の増加であるのに対し、営業利益、当期純利益はより早いスピードで増加しています。

これは、利益率が上昇していることが要因ですが、詳細な後ほど触れます。

① 半導体市場の動向が売上に大きく影響

まず、売上について長期の傾向を見ると、2020年まではほぼ増減は無く、2021年から大きく増加しています。

下のグラフは過去10年間の事業別の売上構成を示していますが、これを見ると3つの事業のうち、アナログ半導体の売上が、市場規模に比例する形で増加していることが分かります。

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② 目を見張る利益率の改善

次に、過去20年間の利益率(下の3指標)を見てみます。

  • 粗利益率:(売上-売上原価)÷売上
  • 営業利益率:営業利益(売上利益 ー 販管費)÷ 売上
  • 売上純利益率:当期純利益 ÷ 売上

他社との競争による値下げやコスト増加など、競争優位性に大きな問題が生じていれば、利益率にも変化が出てくると考えられます。

テキサス・インスツルメンツでは、3指標ともこの20年間で約30%改善しています。

売上が20年前から2倍以上になっているにも関わらず、売上原価・販売費・一般管理費といった主要なコストがほぼ増えていません。

いわゆる材料費や人件費等の変動費よりも、設備費などの固定費が製造コストの中心になっており、これを上手くコントロールしていることによると思われます。

いずれにしても、利益率が並外れた水準にあることは間違いありません。

ちなみに、2023年第1四半期の粗利益率は、売上の減少、製造コストの増加により前年同期の70%から65%に5ポイント減少しています。

③ 1株当たり純利益は20年間で約14倍

下のグラフは当期純利益と1株当たり当期純利益(EPS)の推移を示したものです。

EPSは20年間で約14倍の水準になっており、売上はここまで伸びていないものの、利益率の改善により純利益が大きく増加しています。

2003年:0.68ドル → 2022年:9.41ドル

とはいえ、利益率の改善にもある程度限界があるはずなので、売上が伸びたとしてもこれまでと同じようなペースで純利益、EPSが上昇するかというと、難しいように思います。

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投資リターン・株価の分析

最後に、投資リターンについて整理します。

ポイント:
長期のリターンはセクター平均、S&P500指数を大きく上回る
2023年6月時点でPERはそれほど高くなく、買える水準

長期のリターンはセクター平均、S&P500指数を大きく上回る

ここでは、2022年12月までの配当込みの投資リターン(チャートは月足)をS&P500指数などと比較します。

直近5年、10年、20年のいずれの期間でも、S&P500指数を大きく上回っています。

特に20年以上のパフォーマンスが凄まじいですね。

銘柄・指数5年10年20年
テキサス・インスツルメンツ+81%+587%+1,557%
テクノロジーセクターインデックス(XLK)+110%+435%+1,132%
S&P500+44%+172%+376%

【投資期間5年】

(Trading Viewより)

【投資期間10年】

(Trading Viewより)

【投資期間20年】

(Trading Viewより)

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配当利回りは高め

2023年6月時点での予想配当利回りは約2.8%で、他のS&P500銘柄と比べると高めです。

下のグラフは、過去20年間の1株当たり当期純利益(EPS)と1株当たり配当の推移を示したものです。

EPSの成長と共に配当も大きく伸びており、配当銘柄としても期待できそうです。

現在の株価と今後の見通し

2023年6月現在の予想PER(2023年の予想EPSに基づく)は約23倍で、S&P500指数のPER20倍と比べると少し高いですが、気にするほどではありません。

同社の過去のPERも15~20倍近くを推移していますし、この銘柄を気に入っていれば、私だったら気にせずに買う水準です。

今後も半導体市場の拡大に期待

WSTS(世界半導体市場統計)によれば、直近ではアナログ半導体市場は2023年は縮小するものの、2024年は拡大が見込まれています。

(WSTS「2023年春季半導体市場予測 世界のIC 製品別市場予測」から作成)

また、先述の経済産業省が2021年に公表した資料によれば、ロジックやメモリも含む半導体市場全体では、2030年には、2020年の50兆円から倍近い、100兆円規模に拡大すると予想されています。

アナログ半導体は、デジタル機器の情報をアナログ信号にして出力するために使用され、デジタル機器を人間が操作する以上、必要不可欠なものです。

半導体市場全体が伸びればアナログ半導体も伸び、その中でトップシェアを持つテキサス・インスツルメンツの業績についても拡大が期待されます。

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まとめ

ここまで、テキサス・インスツルメンツの事業内容、業績、投資リターンと、今後の見込みについて見てきました。

総合すると、長期的に売上は大きく伸びているわけではないが、驚異的な利益率の改善で業績・株価を伸ばしてきた銘柄であり、高配当銘柄としても優秀。PERからも値ごろで、半導体銘柄狙いなら買っても良さそうと考えています。

このような銘柄分析のほか、銘柄の選び方や投資の勉強方法など、投資を始めたばかりの方に向けて有益な情報をまとめています。

ぜひご覧ください。

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※この記事に記載した内容はブログ運営者の個人的な意見やアイディアを述べたものであり、専門的なアドバイスを示すものではありません。特定の銘柄への投資を推奨するものではなく、投資の判断・実行は自己責任でお願いします。