コストコ株を買ってみたいけど、事業内容や業績ってどうなんだろう?
コストコの株価は最近低迷気味だけど、買っても将来的に大丈夫なのかな?
ここでは、そんな人たちに向けて、会員制スーパーの米国最大手であるコストコ(COST)の事業内容や財務数値を分析していきます。
銘柄を選ぶ際のヒントに少しでもなれば幸いです。
この記事では、コストコが長期投資に適しているか、以下の点から分析します。
● コストコの事業内容、競争優位性
● コストコのこれまでの業績
● 配当を含むこれまでの投資リターンや株価の考察
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自己紹介
ブログ運営者のYYです。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国個別株やインデックスの長期投資を中心に運用しています。会計士の知識を生かした個別株の銘柄分析や、自身の失敗を踏まえた長期投資での気づなど、役立つ情報をブログにまとめていますので、よろしければ他の記事もご覧になってください。
この記事に記載した内容は、私個人ができる範囲で調べた情報を載せ、個人的な意見をまとめたものであるため、参考として、エンタメ的に楽しんでいただければと思います。
こちらの記事をきっかけに興味を持った銘柄があれば深掘りして調べていただき、より理解が深まれば幸いです。
使用した情報・分析手法は、年次報告書に記載されている決算数値や、一般に公表されている情報を用い、シンプルな分析を行っています。正確でない用語や数値が使われているかも知れませんが、ご容赦ください。
四半期の数値は短期の変動やブレが入るため、考慮していません。
紹介した銘柄について、将来の業績や株価についての言及がある可能性がありますが、その業績や株価を保証するものではありません。
また、その銘柄の保有や売買を勧めるものでは無く、売買はご自身で判断ください。
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結論
まず、この銘柄が長期保有に適しているか、これからお話しする内容を踏まえた結論から言うと、
競争の激しいスーパー業界で、規律を持った出店で高成長を続ける有望株であり、唯一の難点である高いPERがある程度下がったら買いたい銘柄
(ポイント)
● 高品質な商品の低価格での販売、規律ある出店計画でブランドを構築
● 会員制倉庫型スーパーの業態では、他社を圧倒する売上
● 成長期待から予想PERは30倍を超えるが、現在の調整局面は買いの好機か
と考えています。
判断の理由や具体的なポイントについては、以降でお話します。
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事業の分析
ここでは、企業情報や事業構成などの事業内容について分析します。
ポイント:
● 会員制の倉庫型スーパーマーケットでは米国最大級
● 自社ブランドを中心に、高品質の商品を低価格で販売
● 収益性を確保するため厳格な出店条件を設け、規律ある成長を志向
企業情報
コストコは、アメリカを中心に、倉庫型店舗で生鮮食品や日用品、電化製品などを販売する会員制スーパーマーケットチェーンです。
コストコの由来は、1976年にカリフォルニア州サンディエゴにある飛行機の格納庫を改造した「プライスクラブ」という倉庫店舗です。
現在はアメリカ、カナダ、メキシコ、イギリス、日本を中心に世界各地で800以上の店舗を展開しています。
業種 | 生活必需品、ディスカウントストア |
ティッカー | COST |
取引市場 | NYSE(ニューヨーク証券取引所) |
時価総額 | 2,213億ドル |
創業 | 1976年 |
上場 | 1985年 |
本社所在地 | ワシントン州、イサクア |
CEO | クレイグ・ジェラインクス |
従業員数 | 304,000人 |
事業内容
コストコは、会員に低価格で品質の良い商品を提供するというコンセプトの下、従来のスーパーマーケットと異なり、種類を絞りながら大量の商品を倉庫型の店舗に直接仕入れることで、仕入原価を抑え配送を効率化することにより、低価格での販売を実現しています。
自社ブランドである「カークランドシグネチャー」の食料品や日用品を中心に、家電やレジャー・スポーツ用品、衣類なども販売しています。
(同社2022年の年次報告書より)
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① 厳格な出店条件を設け、着実に拡大
現時点では売上の3/4近くを米国が占めていますが、スペインやフランスなどの新規出店も含め、海外店舗も着実に増やしつつあります。
この人気度であれば、どんどん店舗数を増やしていっても良さそうですが、コストコの経営方針として着実な成長を目指すこと、そもそも倉庫型店舗で立地条件が限定されることから、厳格な出店条件を設けています。
【コストコの出店条件】
- 半径10kmの人口が概ね50万人以上
- 企業が多い地域
- 敷地面積 15,000坪以上(ガスステーション用敷地を含む)
- 建築面積 約4,500坪
- 駐車場収容台数 800台以上
- 車のアクセスの良い物件
(コストコHPより)
東京ドームが建物だけで約15,000坪ですから、あれほどの広さの土地を探すとなると、関東近郊ではかなり難しいですね。
東京だと町田の多摩境というところにあるようです。
ちなみに、私は川崎店をよく利用しています。
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② 長期厳選投資ファンドも認める競争優位性
日本のウォーレン・バフェットとも呼ばれる奥野一成氏が率いる米国株式の長期投資ファンド「おおぶね」は、コストコの競争優位性を高く評価しており、おおぶねのポートフォリオの一部に組み込んでいます。
「おおぶね」は、米国に上場している企業から長期投資に適う「構造的に強靭な企業®」のみを厳選して投資するファンドです。
● 「おおぶね」の投資先等について詳しく知りたい方は↓
同ファンドが競争優位性を認めているということは、私たちのようなアマチュア投資家にとっても投資を検討する上で、安心できる材料になりますね。
コストコの詳細な評価については「おおぶね」が過去の月次運用レポートで公表していますが、ここでは簡単にまとめておきます。
- 大規模店舗でも商品数をコンビニ並みに抑えることで、メーカーに対する圧倒的なバイイングパワーを獲得し、他の小売業では実現できない低価格で顧客に商品を提供している。
- 寡占化が進んだ会員制倉庫型小売業で競合を圧倒するプレゼンス(米国市場シェア5割超)を持ち、高い更新率から顧客ロイヤリティも高く、引き続き競合他社に対する競争優位性が見込まれる。
- 大盛況であった中国1号店の出店時におけるインタビューでも、今後の出店計画について、「多くの投資家はもっと早く拡大して欲しいと思うだろうが、収益性を保つことが重要と考えている」と極めて冷静な回答
- 目先の成功に一喜一憂せず、規律ある成長を志向する姿勢に、価値を創出し続けてきた理由の一端を垣間見た。
(農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね「マンスリーレポート 2020年5月」より抜粋・要約)
ポイントは、目先のブームに乗った拡大を嫌い、インタビューにあったように「収益性を保つ」ことに主眼を置いている点だと思います。
後ほども出てきますが、この点が最もよく表れているのが売上成長率で、既存店舗でも直近は前年比で2ケタの成長率を見せており、立地の厳選から始まり、出店後も一つ一つの店舗の価値が増大している様子が見えてきます。
これが更に新規出店と組み合わさって、力強い業績の成長を確保しています。
業績の分析
ここではコストコの過去の財務諸表から業績を分析していきます。
ポイント:
● 業績は長期的に安定して増加
● 特に出店数で競合を大きく引き離しており、海外含め当面は拡大が続くと予想
※ことわりが無い限り、以降の数値データは年次報告書(10-K)の情報を使用しています。
業績は堅実に推移
過去20年間の売上・純利益などの主要な損益指標を見ていきましょう。
売上、営業利益、当期純利益すべて、安定して増加しています。
① 売上増加で競合スーパーとの差は歴然
会員制倉庫型スーパーで競合のウォルマート傘下のサムズクラブ、BJ’s Wholesale Clubとも比較してみます。
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過去10年間の売上を並べていますが、10年間でコストコが売上を2倍以上に伸ばしているのに対し、サムズクラブ、BJ’s Wholesale Clubとも大きく伸ばせていないことが分かります。
(各社の年次報告書より。コストコは8月決算、サムズクラブ、BJ’s Wholesale Clubは1月決算のため、コストコ以外の2社の数値はコストコにおける前年の数値と比較。BJ’s Wholesale Clubは2014年1月期以前の開示無し)
② 北米だけでなくアジア・欧州でも拡大
このコストコの業績拡大を支えているのが、主に新規出店です。
下の表は2022年までの10年間の新規出店数を載せていますが、米国、カナダなどの北米地域だけでなく、日本やオーストラリアでも出店を拡大しています。
また、スペイン、フランス、中国にも徐々に進出しつつあります。
こういった初進出の国・地域では当初は慎重に店舗を設置し、上手くいけば日本のように積極拡大していくのではないかと思います。
店舗拡大が頭打ちになるということは当面は無いように見えます。
なお、この10年間で、コストコが米国・プエルトリコで139の新規出店を行ったのに対し、同期間でサムズクラブは米国で▲20、BJ’s Wholesale Clubは+28と、店舗拡大で大きな差がついています。
③ 利益率は安定
下のグラフは、営業利益率を示したものです。
他社との競争による値下げやコスト増加など、競争優位性に大きな問題が生じていれば、利益率にも変化が出てくると考えられます。
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コストコの営業利益率は安定しており、特に問題は無いように思われます。
投資リターン・株価の分析
最後に、投資リターンについて整理します。
ポイント:
● 長期になるほど、S&P500指数を大きく上回るリターン
● 配当利回りは1%未満だが、不定期で特別配当を実施
● 予想PERは30倍を超えるが、成長性を踏まえれば調整局面は買いのチャンスか
投資期間が長いほどS&P500指数を圧倒
ここでは、いくつかタームを区切って投資リターン(配当込みのパフォーマンス)をS&P500等の指数と比較します。
下の表とグラフは2022年12月末までの期間におけるリターンを比較したものです。
長期になるほどS&P500指数を上回っており、20年だと6倍以上の差をつけています。
こういったところに個別株投資の面白さ、醍醐味がありますね。
5年 | 10年 | 20年 | |
---|---|---|---|
コストコ | +160% | +400% | +1800% |
S&P500 | +65% | +120% | +270% |
【投資期間5年】
【投資期間10年】
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【投資期間20年】
配当利回りは低いが、不定期で特別配当を実施
2023年5月時点での予想配当利回りは約0.8%であり、高い水準ではありません。
ただし、過去の支払実績を見ると、業績の上昇と共に配当も確実に増えています。
減配リスクもまず無いと言って良さそうです。
過去に4回特別配当を実施
上のグラフを見ると分かるとおり、過去に4回、特別配当を実施しており、これもコストコの株価を押し上げている要因の一つです。
配当支払年月 | 配当額 |
2012年12月 | 7ドル |
2015年2月 | 5ドル |
2017年5月 | 7ドル |
2020年12月 | 10ドル |
設備投資に関する支出を除く現金収入(フリー・キャッシュ・フロー)が潤沢に出ている場合には特別配当を実施する傾向にあるように見えます。
特別配当のタイミングは正確には分かりませんが、2023年、2024年あたりに出てもおかしくないですね。
現在の株価と今後の見通し
コストコの2023年5月現在の予想PER(2024年の予想EPSに基づく)は32倍であり、S&P500指数の17~18倍と比較しても割高な水準です。
業績は引き続いて伸びている一方で、FRBによる金融引締の影響もあり、直近1年ほどは株価が調整に入っています。
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歴史的なPER水準を見ると上昇傾向にあり、どこまでこの上昇が市場で正当化されるかは分かりませんが、コストコの成長に期待する投資家であれば、今は買いのチャンスかも知れません。
参考までに、直近10年間の実績PERはこちらです。
(macrotrendsより。※2017年~2018年の表示が一部おかしくなっています。)
まとめ
ここまで、コストコの事業内容、業績、投資リターンと、今後の見込みについて見てきました。
総合すると、コストコはこれまでの業績や配当実績から市場の期待が高く、PERが割高な水準ですが、引き続き成長を見込むのであれば、現在の調整局面は買いのチャンスといえそうです。
私はコストコの商品自体も気に入ってますし、購入リストに入っている銘柄の一つです。
このような銘柄分析のほか、銘柄の選び方や投資の勉強方法など、投資を始めたばかりの方に向けて有益な情報をまとめています。
ぜひご覧ください。
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※この記事に記載した内容はブログ運営者の個人的な意見やアイディアを述べたものであり、専門的なアドバイスを示すものではありません。特定の銘柄への投資を推奨するものではなく、投資の判断・実行は自己責任でお願いします。