ローリンズ株を買ってみたいけど、事業内容や業績ってどうなんだろう?
ローリンズって株価がかなり上がってるけど、今は買っても大丈夫かな?
ここでは、そんな人たちに向けて、害虫駆除サービスでは米国最大級、ローリンズ(ROL)の事業内容や財務数値を分析していきます。
銘柄を選ぶ際のヒントに少しでもなれば幸いです。
この記事では、ローリンズが長期投資に適しているか、以下の点を分析します。
● ローリンズの事業内容、競争優位性
● ローリンズのこれまでの業績
● 株価、配当を含むこれまでの投資リターンと今後の株価の考察
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自己紹介
ブログ運営者のYYです。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国個別株やインデックスの長期投資を中心に運用しています。会計士の知識を生かした個別株の銘柄分析や、自身の失敗を踏まえた長期投資での気づなど、役立つ情報をブログにまとめていますので、よろしければ他の記事もご覧になってください。
この記事に記載した内容は、私個人ができる範囲で調べた情報を載せ、個人的な意見をまとめたものであるため、参考として、エンタメ的に楽しんでいただければと思います。
こちらの記事をきっかけに興味を持った銘柄があれば深掘りして調べていただき、より理解が深まれば幸いです。
使用した情報・分析手法は、年次報告書に記載されている決算数値や、一般に公表されている情報を用い、シンプルな分析を行っています。正確でない用語や数値が使われているかも知れませんが、ご容赦ください。
四半期の数値は短期の変動やブレが入るため、考慮していません。
紹介した銘柄について、将来の業績や株価についての言及がある可能性がありますが、その業績や株価を保証するものではありません。
また、その銘柄の保有や売買を勧めるものでは無く、売買はご自身で判断ください。
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結論
まず、この銘柄が長期保有に適しているか、これからお話しする内容を踏まえた結論から言うと、
業績は長期で安定して伸びており長期保有向きな銘柄だが、現在の高PERに納得できる材料が見当たらず、PERがある程度下がるまで様子見したい
(ポイント)
● 害虫駆除サービスに特化し、買収で成長
● 業績は長期で安定して伸びている
● 40倍を超える予想PERを裏付ける材料が、業績や市場見込みからは無いかも
と考えています。
判断の理由や具体的なポイントについては、以降でお話します。
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事業の分析
ここでは、企業情報や事業構成などの事業内容について分析します。
ポイント:
● 害虫駆除サービスでは米国最大級
● 関連サービスや海外の同業他社買収で事業を拡大
企業情報
ローリンズはアトランタ州ジョージアに本社を置き、約70か国で住宅や商業施設の害虫・野生動物駆除や、シロアリ・ネズミ・昆虫などからの保護サービスを提供しています。
ウェイン・ローリンズとジョン・ローリンズの兄弟が、1901年に創業され「Orkin」ブランドで害虫駆除サービスを行っていたOrkin Exterminating Companyの株式を1964年に取得した後、1965年にRollins, Incに社名を変更し、現在に至ります。
業種 | 一般消費財、個人サービス |
ティッカー | ROL |
取引市場 | NYSE(ニューヨーク証券取引所) |
時価総額 | 203億ドル |
創業 | 1948年 |
上場 | 1980年 |
本社所在地 | アトランタ州、ジョージア |
CEO | Jerry Gahlhoff Jr |
従業員数 | 17,515人 |
長年にわたってCEOを務めてきたゲイリー・ローリンズが引退
同社を2001年から長年にわたって率いてきた、ローリンズの共同創業者であるウェイン・ローリンズの息子のゲイリー・ローリンズが2022年末でCEO職を辞し、2023年から後任としてJerry Gahlhoff JrがCEOとなりました。
現時点でこの情報をもって何かの懸念が出てくるわけでは無いですが、長年勤めたCEOの後任によるマネジメントが上手くいかず業績が落ちたり、「やっぱり経験の無い新CEOはダメだ」という評判で、市場の評価に悪影響を及ぼすことがあります。
新CEOの下で経営がどうなるか、注視していく必要がありそうです。
事業内容
ローリンズは、「Orkin」以外にも害虫・害獣駆除に特化した様々なブランドを各国で展開している非常にユニークな会社です。
プロダクトラインは大きく3つに分かれており、住宅だけでなく、商業施設向けにもサービスを提供しています。
「シロアリ」というラインがあるのも面白いですね。
なお、収益のほとんどはアメリカ国内で得ています。
(同社2022年の年次報告書より)
① 3年間で100社買収、海外にも進出
ローリンズのグループ傘下にはいくつものブランドがありますが、2022年までの3年間で約100社を買収するほど、同社は買収に積極的です。
下は2000年以降にローリンズが実施した主な買収で、イギリスやオーストラリアにも進出しています。
(同社の年次報告書、ホームページより作成)
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② 長期厳選投資ファンドも認める競争優位性
日本のウォーレン・バフェットとも呼ばれる奥野一成氏が率いる米国株式の長期投資ファンド「おおぶね」は、ローリンズの競争優位性を高く評価しており、おおぶねのポートフォリオの一部に組み込んでいます。
「おおぶね」は、米国に上場している企業から長期投資に適う「構造的に強靭な企業®」のみを厳選して投資するファンドです。
● 「おおぶね」の投資先等について詳しく知りたい方は↓
同ファンドが競争優位性を認めているということは、私たちのようなアマチュア投資家にとっても投資を検討する上で、安心できる材料になりますね。
ローリンズの詳細な評価については「おおぶね」が過去の月次運用レポートで公表していますが、ここでは簡単にまとめておきます。
- 害虫駆除サービスは競合が多く、パパママ企業や零細企業を中心に米国内でも多くのオペレーターが存在し、米国市場の成長性から新規参入が止まらない業界。
- 個人向けの場合は他人が家に入ること、業務向けでは信用が重要であることから、「ブランド確保」がカギ
- このブランドを確保する上では、優秀なセールスやサービススタッフを雇い、長期的にトレーニング、リテインすることが重要。
- 創業家が株式の過半数を保有し、経営している同社では、スタッフが安定したマネージメントで非常に高いモチベーションで仕事に取り組んでいることがCFOとの議論でも確認できた。
(農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね「マンスリーレポート 2020年5月」より抜粋・要約)
業績の分析
ここではローリンズの過去の財務諸表から業績を分析していきます。
ポイント:
● 業績は長期的に右肩上がり
※ことわりが無い限り、以降の数値データは年次報告書(10-K)の情報を使用しています。
業績は長期で右肩上がり
過去20年間の売上・純利益などの主要な損益指標を見ていきます。
売上、営業利益、当期純利益すべて、右肩上がりで増加しています。
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利益率は上昇傾向
下のグラフは、主な利益率指標を示したものです。
- 粗利益率:(売上-売上原価)÷売上
- 営業利益率:営業利益(売上利益 ー 販管費)÷ 売上
- 売上純利益率:当期純利益 ÷ 売上
他社との競争による値下げやコスト増加など、競争優位性に大きな問題が生じていれば、利益率にも変化が出てくると考えられます。
上記の3指標ともむしろ長期で上昇傾向にあり、特に問題があるようには見えませんね。
投資リターン・株価の分析
最後に、投資リターンについて整理します。
ポイント:
● 10年以上の投資期間ではS&P500指数を大きく上回るリターン
● 一方で、同社・市場の成長性から高PERを肯定する材料が見つけられない
※私が見た限りでは
● 配当利回りは平均並み
長期ではS&P500を上回るパフォーマンス
ここでは、いくつかタームを区切って投資リターン(配当込みのパフォーマンス)をS&P500等の指数と比較します。
① 5年ではS&P500指数とそれほど変わらない
直近5年間のパフォーマンスを見てみると、S&P500やセクター平均とそれほど差は出ていません。
② 投資期間10年以上になると指数を大きく超える
10年、15年のより長期間における投資リターンでは、S&P500指数を大きく超えるパフォーマンスを見せています(10年では+500%超、15年では+1100%)。
一方で、売上や純利益等の業績はその期間でそれほど伸びているわけでは無いため、PERが年々切り上がっている点には留意が必要だと思われます。
この点は後ほど補足します。
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配当利回りは平均水準
2023年5月時点での予想配当利回りは約1.3%であり、平均的な水準です。
過去の支払実績を見ると、業績の上昇と共に配当も確実に増えています。
現在の株価と今後の見通し
ローリンズの現在の株価は41~42ドルで、予想PER(2024年の予想EPSに基づく)は42倍、S&P500指数の17~18倍と比較してかなり割高な水準です。
① PERを見ると歴史的にも割高な水準
これは2010年からの実績PERの推移を示したものです。
実績PERベースでも2010年代と比較して、現在は53~54倍と、この頃から2倍近い水準となっています。
米国株は全体的にPERは年々上昇傾向にありますが、それを考慮してもローリンズのPERは高いな、というのが私の率直な感想です。
ただし、実績PERについて同業種のレントキル(RTO)が約55倍、エコラブ(ECL)が約45倍で、S&P500が約24倍である点から、業界全体として高いのはあるようです。
(macrotrendsより)
② 市場は今後の拡大が見込まれている
一般的に高い成長性が見込まれる場合は、株価に期待が織り込まれるためPERは高くなりますが、今後、害虫駆除サービス市場は拡大が見込まれるのでしょうか。
下のグラフは2027年までの北アメリカにおける市場規模予測です(2020年時点)。
緩やかな拡大が見込まれてはいるものの、先ほどの高いPERについて納得がいくほどの成長性はここからは見えないように思います。
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まとめ
ここまで、ローリンズの事業内容、業績、投資リターンと、今後の見込みについて見てきました。
総合すると、ここまでの業績は素晴らしい会社で長期投資の対象としてはよいものの、株価が高く、業績の伸びやマーケットの成長性を見る限りでは納得のいく材料が見つけられなかったため、個人的には、ある程度株価に調整が入るまで見送りたい銘柄です。
このような銘柄分析のほか、銘柄の選び方や投資の勉強方法など、投資を始めたばかりの方に向けて有益な情報をまとめています。
ぜひご覧ください。
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※この記事に記載した内容はブログ運営者の個人的な意見やアイディアを述べたものであり、専門的なアドバイスを示すものではありません。特定の銘柄への投資を推奨するものではなく、投資の判断・実行は自己責任でお願いします。