イーライ・リリーの事業内容とか業績が良く分からないから詳しく知りたい。他の医薬品銘柄とは何が違うの?
イーライ・リリーってだいぶ株価が上がったけど今は買い時?
今後どうなるのかな。
ここでは、そんな人たちに向けて、世界的な製薬大手イーライ・リリー(LLY)の事業内容や財務数値を分析していきます。
銘柄を選ぶ際のヒントに少しでもなれば幸いです。
この記事では、イーライ・リリーが長期投資に適しているか、以下の点から分析します。
● イーライ・リリーの事業内容、競争優位性
● イーライ・リリーのこれまでの業績
● 配当を含むこれまでの投資リターンや株価の考察
その他の銘柄に関する分析はこちらから
自己紹介
ブログ運営者のYYです。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国個別株やインデックスの長期投資を中心に運用しています。会計士の知識を生かした個別株の銘柄分析や、自身の失敗を踏まえた長期投資での気づなど、役立つ情報をブログにまとめていますので、よろしければ他の記事もご覧になってください。
この記事に記載した内容は、私個人ができる範囲で調べた情報を載せ、個人的な意見をまとめたものであるため、参考として、エンタメ的に楽しんでいただければと思います。
こちらの記事をきっかけに興味を持った銘柄があれば深掘りして調べていただき、より理解が深まれば幸いです。
使用した情報・分析手法は、年次報告書に記載されている決算数値や、一般に公表されている情報を用い、シンプルな分析を行っています。正確でない用語や数値が使われているかも知れませんが、ご容赦ください。
四半期の数値は短期の変動やブレが入るため、考慮していません。
紹介した銘柄について、将来の業績や株価についての言及がある可能性がありますが、その業績や株価を保証するものではありません。
また、その銘柄の保有や売買を勧めるものでは無く、売買はご自身で判断ください。
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結論
まず、この銘柄が長期保有に適しているか、これからお話しする内容を踏まえた結論から言うと、
新薬で業績アップ見込むが、2023年はその期待先行で株価が大きく上昇した感あり。買うなら一度では無く、落ちたら少しずつ、押し目で買いたい。
(ポイント)
● 糖尿病治療薬に強み
● 2010年代は業績落ち込むも、複数の主力医薬品貢献で回復
● 長期の投資リターンはS&P500を上回るが、新薬への期待でPERは直近急上昇
と考えています。
あくまでも、私個人の意見である点はご理解ください。
判断の理由や具体的なポイントについては、以降でお話します。
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事業の分析
ここでは、企業情報や事業構成などの事業内容について分析します。
ポイント:
● 医薬品の売上高は米国第6位
● 糖尿病治療薬に強みを持ち、新薬のマンジャロは肥満の減退効果でも注目
企業情報
業種 | ヘルスケア、製薬 |
ティッカー | LLY |
取引市場 | NYSE |
採用指数 | S&P500 |
時価総額 | 4,230億ドル |
決算期 | 12月 |
創業 | 1876年 |
上場 | 1941年 |
本社所在地 | インディアナ州、インディアナポリス |
CEO | デイビット・A・リックス |
従業員数 | 39,000人 |
事業内容
イーライ・リリーは、糖尿病を中心に、ガンや新型コロナなどの治療薬を製造・販売する製薬会社です。
① 医薬品の売上規模は最大手よりも一回り小さい
イーライ・リリーは、米国の製薬会社の中では大手の一角といった立ち位置です。
売上ベースで見ると、ファイザーやメルク等の米国最大手からは一回り小さい規模です。
② 糖尿病の治療薬に強み
イーライ・リリーは糖尿病の治療薬に強みを持っており、主力製品は現在の売上の1/4を占めるトゥルリシティです。
ジャーディアンスは他社と共同開発した治療薬で2016年から販売を開始しており、フマログ、ヒュミリンは20年以上の販売実績があります。
2022年に販売を開始した2型糖尿病の治療薬であるマンジャロは、肥満症の体重を減らす効果が期待されており、肥満症の治療薬としては、現在、治験段階にあります。
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③ ジム・クレイマーのお気に入り銘柄のひとつ
アメリカの著名投資家であるジム・クレイマーは、イーライ・リリーを彼のお気に入り銘柄として挙げており、同氏が率いるCNBCのチャリティファンド「CNBC Investing Club」のポートフォリオに組み込まれています。
その理由として、先ほど挙げたマンジャロがブロックバスターとなる可能性を秘めていることや、その他にもアルツハイマー治療薬など有力なパイプラインを持っていることを挙げています。
業績の分析
ここではイーライ・リリーの過去の財務諸表から業績を分析していきます。
ポイント:
● 主力製品キートルーダがここ数年の業績アップに貢献
● 一方で特定の製品に依存する集中リスクもありそう
※ことわりが無い限り、以降の数値データは年次報告書(10-K)の情報を使用しています。
2020年代に入り、業績は軌道に乗ったか
2022年までの過去20年間の売上・純利益などの主要な損益指標を見ていきましょう。
① 主力の特許切れで低迷も、製品の世代交代で業績回復
長期の傾向を見ると、売上が2014年に大きく落ち込んだものの、その後は回復しています。
これは、当時の主力製品であったサインバルタ(抗うつ薬)やエビスタ(骨粗鬆症の治療薬)の特許切れが要因です。
その後、現在の基幹商品であるトゥルリシティ(糖尿病治療薬)が2014年に、これに続くヴァーゼニオ(抗がん剤)、タルツ(乾癬の治療薬)などが2017年に販売開始されました。
これらの医薬品が売上を伸ばすことで、2010年代後半からの業績回復に貢献しています。
また、営業利益・当期純利益は、一時的な要因で変動しています(詳細はグラフ下の説明文A~Cを参照)。
これらの一時的な損益の影響を除けば売上と同様の動きを見せています。
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② 1株当たり純利益は20年間で約2.5倍
下のグラフは当期純利益と1株当たり当期純利益(EPS)の推移を示したものです。
EPSは20年間で約2.5倍の水準になっています。
2003年:2.89ドル → 2022年:7.88ドル
ちなみに、同じ期間でアムジェンはEPSが約7倍、ジョンソン・エンド・ジョンソンが約3倍に成長しています。
③ 利益率は概ね安定
次に、過去20年間の利益率(下の3指標)を見てみます。
- 粗利益率:(売上-売上原価)÷売上
- 営業利益率:営業利益(売上利益 ー 販管費)÷ 売上
- 売上純利益率:当期純利益 ÷ 売上
他社との競争による値下げやコスト増加など、競争優位性に大きな問題が生じていれば、利益率にも変化が出てくると考えられます。
営業利益率や売上純利益率は、売上の推移で示した一時的な要因により多少変動していますが、全体としては安定して推移しています。
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投資リターン・株価の分析
最後に、投資リターンについて整理します。
ポイント:
● 長期のリターンはセクター平均、S&P500指数を大きく上回り
● 将来の成長期待でPERはかなり高め。買うなら少しずつ押し目で
長期のリターンはセクター平均、S&P500指数を大きく上回る
ここでは、2022年12月までの配当込みの投資リターン(チャートは月足)をS&P500指数などと比較します。
直近5年、10年、20年のいずれの期間を見ても、ヘルスケアセクター平均、S&P500指数を大きく上回っています。
銘柄・指数 | 5年 | 10年 | 20年 |
---|---|---|---|
イーライ・リリー | +365% | +718% | +970% |
ヘルスケアセクターインデックス(XLV) | +64% | +265% | +600% |
S&P500 | +44% | +172% | +376% |
【投資期間5年】
(Trading Viewより)
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【投資期間10年】
(Trading Viewより)
【投資期間20年】
(Trading Viewより)
2019年頃から株価が急上昇
上の株価推移を見ると分かりますが、特に2019年頃からの株価上昇によって、S&P500等を大きく引き離すパフォーマンスを出しています。
2019年以降の業績改善と、加えて新薬への期待による影響が大きいように見えますが、特に2023年3月から直近は50%近く上昇しています。
かなり短期間での上昇なので、少し警戒したいところです。
配当利回りは低い
2023年6月時点での予想配当利回りは約1%で、他の大手医薬品銘柄が2.5%~3%程度あるのに対し、低い水準です。
ただし、これは今後の成長期待で株価が上昇しているためです。
下のグラフは、過去20年間の1株当たり当期純利益(EPS)と1株当たり配当の推移を示したもので、毎年増配を維持しています。
配当狙いで行くなら他の医薬品銘柄も
もう少し配当利回りが高い銘柄を選びたい、ということであれば、同じ医薬品銘柄でかなり割安の水準になっているアムジェンや、業績が安定成長しているジョンソン・エンド・ジョンソンもアリかなと考えてます。
●アムジェンの分析はこちら↓
●ジョンソン・エンド・ジョンソンの分析はこちら↓
現在の株価と今後の見通し
2023年6月現在の予想PER(2024年の予想EPSに基づく)は約36倍で、他の医薬品銘柄が15倍程度であるのに対し、かなり高めです。
NYダウ銘柄のアムジェンは約12倍、ジョンソン・エンド・ジョンソンは約14倍であり、医薬品銘柄のPERは全体として低めのようです。
イーライ・リリーの予想PERも2021年頃までは20倍程度でしたが、ここ1~2年で新薬への期待もあってか、一気に上昇しました。
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マンジャロの爆発に期待
2022年から販売が開始され、投資家から期待されているマンジャロですが、2023年1~3月の売上は約57億ドル、2022年10~12月の売上28億ドルの倍以上を記録しました。
早速ブロックバスターの片鱗を見せており、今後の成長が期待されます。
とはいえ、今の株価は期待込みでだいぶ割高になっているように思うので、自分が買うとしたら一気に買わず、落ちたら買い、を少しずつ繰り返していきます。
まとめ
ここまで、イーライ・リリーの事業内容、業績、投資リターンと、今後の見込みについて見てきました。
総合すると、ここ数年で業績は伸びているものの、長期保有では安定成長銘柄を選びたい点を考慮すると、同じ医薬品であればアムジェン、ジョンソン・エンド・ジョンソンを買いたいと考えています。
ただ、この点は個人の好みや、現在の業績だけでは見えない部分もあると思うので、検討する際にはよく調べていただくのがよさそうです。
このような銘柄分析のほか、銘柄の選び方や投資の勉強方法など、投資を始めたばかりの方に向けて有益な情報をまとめています。
ぜひご覧ください。
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※この記事に記載した内容はブログ運営者の個人的な意見やアイディアを述べたものであり、専門的なアドバイスを示すものではありません。特定の銘柄への投資を推奨するものではなく、投資の判断・実行は自己責任でお願いします。