銘柄分析

マイクロソフト(MSFT)は長期投資に適しているか?決算から見る競争優位性と今後の見通し

マイクロソフトって人気銘柄らしいけど、そもそもどんなことやってるの?

マイクロソフトの株価が今後も上がるのか知りたい。

ここでは、そんな人たちに向けて、米国を代表するテクノロジー企業である、マイクロソフト(MSFT)の事業内容や財務数値、株価を分析していきます。

銘柄を選ぶ際のヒントに少しでもなれば幸いです。

この記事では、マイクロソフトが長期投資に適しているか、以下の点から分析します。

事業内容や、競争優位性
これまでの業績
配当を含むこれまでの投資リターンや株価の考察

その他の銘柄に関する分析はこちらから

自己紹介

YY

ブログ運営者のYYです。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国個別株やインデックスの長期投資を中心に運用しています。会計士の知識を生かした個別株の銘柄分析や、自身の失敗を踏まえた長期投資での気づなど、役立つ情報をブログにまとめていますので、よろしければ他の記事もご覧になってください。

分析の前提・注意点

この記事に記載した内容は、私個人ができる範囲で調べた情報を載せ、個人的な意見をまとめたものであるため、参考として、エンタメ的に楽しんでいただければと思います。
こちらの記事をきっかけに興味を持った銘柄があれば深掘りして調べていただき、より理解が深まれば幸いです。

使用した情報・分析手法は、年次報告書に記載されている決算数値や、一般に公表されている情報を用い、シンプルな分析を行っています。正確でない用語や数値が使われているかも知れませんが、ご容赦ください。

四半期の数値は短期の変動やブレが入るため、考慮していません。

紹介した銘柄について、将来の業績や株価についての言及がある可能性がありますが、その業績や株価を保証するものではありません。
また、その銘柄の保有や売買を勧めるものでは無く、売買はご自身で判断ください。

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結論

まず、この銘柄が長期保有に適しているか、これからお話しする内容を踏まえた結論から言うと、

これまでの大きな成長は今後期待できないかも知れないが、競争優位性がある製品・サービスを保有しており、堅実な成長が期待できる銘柄

(ポイント)
オフィス製品は世界的に広く普及しており、高い競争優位性
近年はAzureなどクラウド、サーバーが好調で成長に貢献
20年間で株価は+1800%。ただし、今後はそこまで期待できるか

と考えています。

あくまでも、私個人の意見である点はご理解ください。

判断の理由や具体的なポイントについては、以降でお話します。

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事業の分析

ここでは、企業情報や事業構成などの事業内容について分析します。

ポイント:
コンピュータに関連するあらゆる製品・サービスを提供
特にビジネス向けオフィス製品の競争優位性は高い

企業情報

マイクロソフトはコンピュータのハードウェアやオフィスソフトウェア、クラウドサービスなどを提供するテクノロジー企業です。

時価総額は2.5兆ドル、米国株式ではアップルに次ぐ第2位です。

なお、1999年からNYダウに採用されています。

業種テクノロジー、ソフトウェア
ティッカーMSFT
取引市場Nasdaq
採用指数S&P500、NYダウ、ナスダック100
時価総額25,380億ドル
決算期6月
創業1975年
上場1986年
本社所在地ワシントン州、レドモンド
CEOサティア・ナデラ
従業員数221,000人

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事業内容

ここでは、マイクロソフトの事業内容、製品に触れていきます。

① コンピュータに関連するあらゆる製品・サービスを提供

マイクロソフトの事業は、ビジネスの生産性向上やコミュニケーションに利用する製品、サービスで構成される「生産性・ビジネスプロセス」、Azureを含むクラウドサービス、サーバーで構成される「インテリジェント・クラウド」、個人向け製品等で構成される「パーソナル・コンピューティング」の3セグメントから成ります。

(2022年の年次報告書より作成)

② クラウドサービスの売上が最も大きい

この事業セグメントをさらに製品別に分解したものが、下の製品別売上です。

2022年の売上で最も大きな割合を占めるのはAzureクラウドサービスを含むサーバー製品、その後にオフィス製品、ウィンドウズが続きます。

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③ ビジネス向けソフトの競争優位性は高い

ここ数年はGoogleやAmazonも力を入れているクラウドサービスが話題になっています。

ただ、マイクロソフトはPC用のソフトウェアがもともと強く、仕事でエクセルやワード、パワーポイントなどのオフィス製品を使わない場面は無いほど、ビジネス面では世界的に普及しています。

アップルのiPhoneやMacbookは洗練されたデザイン性で、他の製品で代替できないワイドモート(経済的な堀)を築いていますが、マイクロソフトのビジネス向けソフトはその優れた機能やネットワーク効果でワイドモートを築いていると言えますね。

業績の分析

ここではマイクロソフトの過去の財務諸表から業績を分析していきます。

ポイント:
業績は右肩上がりで成長。ここ数年はAzureを含むクラウド・サーバーが好調

※ことわりが無い限り、以降の数値データは年次報告書(10-K)の情報を使用しています。

業績は右肩上がりで成長

2022年までの過去20年間の売上・純利益などの主要な損益指標を見ていきましょう。

さすがはアメリカを代表するテクノロジー企業であり、これまでの業績は右肩上がりで成長しています。

特に2018年からの伸びが目立ちますが、その要因を製品別に見ていきましょう。

(各年の年次報告書から作成)

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① Azureが売上成長に貢献

下のグラフは2011年以降の製品別の売上推移を示したものです。

(それ以前は製品カテゴリーが大きく異なり比較できないため未記載)

これを見ると、先ほど述べた2018年以降の売上急成長には、Azureを含むサーバー製品が貢献していることが分かります。

その他、堅実な成長を見せているオフィス製品、2016年に買収したリンクトインも、相対的に見れば地味ながら売上拡大に貢献しています。

(各年の年次報告書から作成)

① 利益率は一定水準を維持

次に、過去20年間の利益率(下の3指標)を見てみます。

  • 粗利益率:(売上-売上原価)÷売上
  • 営業利益率:営業利益(売上利益 ー 販管費)÷ 売上
  • 売上純利益率:当期純利益 ÷ 売上

他社との競争による値下げやコスト増加など、競争優位性に大きな問題が生じていれば、利益率にも変化が出てくると考えられます。

利益率は2010年代に落ち込みましたが、営業利益率ベースで大きく持ち直しています。

売上純利益率が30%台後半というのも、かなり高い水準です。

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② 1株当たり純利益は20年間で約14倍

下のグラフは当期純利益と1株当たり当期純利益(EPS)の推移を示したものです。

EPSは20年間で約14倍の水準になっています。

2003年:0.69ドル → 2022年:9.65ドル

投資リターン・株価の分析

最後に、投資リターンについて整理します。

ポイント:
リターンはS&P500指数、セクター平均を大きくアウトパフォーム

S&P500、セクター平均を大きくアウトパフォーム

ここでは、直近の年度決算月である2022年6月までの配当込みの投資リターン(チャートは月足)をS&P500指数などと比較します。

リターンは20年、10年、5年、いずれの期間でもS&P500指数やセクター平均をアウトパフォームしています。

投資リターンが1,000%を超え凄まじいことになっていますが、EPSも同じように伸びていますので、業績も伴った株価成長といえます。

銘柄・指数5年10年20年
マイクロソフト+312%+1,067%+1,762%
テクノロジーセクター指数(XLK)+168%+473%+1,216%
S&P500+67%+199%+353%

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【投資期間5年】

(Trading Viewより)

【投資期間10年】

(Trading Viewより)

【投資期間20年】

(Trading Viewより)

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配当利回りは低いが、堅実に増配を維持

2023年7月時点での予想配当利回りは約0.8%です。

配当利回りだけを見れば低いように思えますが、株価が大きく上がっているためだと捉える方が適切なように思います。

下のグラフは、過去20年間の1株当たり当期純利益(EPS)と1株当たり配当の推移を示したものです。

配当を開始した2003年から、堅実に増配を続けています。

なお、2005年に1株当たり3ドルの特別配当を実施しています。

現在の株価と今後の見通し

2023年7月現在の予想PER(2023年の予想EPSに基づく)は約32倍です。

同社のこれまでの予想PERの推移からすると、若干高めの水準に見えます。

今後もこれまでの成長があるのか

いわゆるグロース銘柄では30倍越えのPERも正当化される気がしますが、マイクロソフトの今後はどうなのか、予想はできませんが過去の成長率から見てみます。

下のグラフは過去20年間の売上、EPSの成長率を示しています。

バラつきはありますが、売上は年30~40%、EPSは10~20%成長を長期にわたって続けています。

この成長率が今後も続く前提での予想PERが上の数字だとすると、個人的にはかなりアグレッシブに感じます。

つまり、クラウドサービスのGoogleやAmazonとの競争激化、Windows PCやオフィスソフトがかなり広範囲に普及してきたことなど考えると、今後もこの成長率を維持するのは厳しいのではないかと考えています。

とはいえ、一度利用したら他社への乗り換えが難しいウィンドウズやオフィス、クラウドサービスが中心なので、業績がガクンと落ちることは考えづらく、堅実に成長する安定成長銘柄として持っておく分には良さそうです。

また、今後の検索ビジネス、クラウドサービスが、先日追加出資したOpen AIのChat GPTとの相乗効果でどれほど収益を上げるのか、注目したいところです。

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まとめ

ここまで、マイクロソフトの事業内容、業績、投資リターンと、今後の見込みについて見てきました。

総合すると、ここまでAzure、オフィス製品を武器に見せた業績、株価の大きな成長が今後も続くかは不透明なものの、競争優位性は高く、安定した成長が期待できる銘柄であると考えています。

このような銘柄分析のほか、銘柄の選び方や投資の勉強方法など、投資を始めたばかりの方に向けて有益な情報をまとめています。

ぜひご覧ください。

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