投資の基本

【初心者向け】レバナスのデメリット、そのうえで買いタイミングを探る

 2021年辺りから、米国ナスダック100指数に対して2倍のパフォーマンスを目指す投資信託の「レバナス」に注目が集まっています。
 SBI証券でも2022年11月の投資信託月間販売ランキングで8位に入っており、その人気の高さがうかがえます。

 一方で、レバナスに投資するのは危険だから止めておいた方がいい、といった意見も良く聞かれます。
 そこで、ここではそもそも投資初心者はレバナスを買うべきなのか、レバナスの性質から分かるメリット・デメリットとともに説明します。
 また、これらを踏まえて買うならいつか、個人的な見解をお話します。

 結論から言うと、投資初心者は
 〇 資金全額をレバナスに突っ込むのは止めた方がいい
 〇 買うなら2022年末の今ではなく、2024年頃
 と考えていますが、その理由についても触れたいと思います。

レバナスはリスク・リターンが2倍

 レバナス(正式名称:iFreeレバレッジNASDAQ100)を販売する大和証券の投資信託に関する目論見書によれば、「日々の基準価額の値動きがNASDAQ100指数(米ドルベース)の値動きの2倍程度となることをめざします。」と説明されています。
 つまり、NASDAQ指数が10%上昇すればレバナスは価格が2倍の20%上昇、逆に指数が10%下落すれば20%下落する商品ということですね。

 実際のこれまでの価格の推移を見てると、

 こんな通りで、2021年末までの3年間で、参照しているNASDAQ100や、米国株を代表する指数のS&P500の2倍以上のすさまじいパフォーマンスを上げていることが分かります。
 一方で、グラフ右側の2022年年初からのパフォーマンス(2022年12月8日時点)は、NASDAQ100の2倍にあたる△58%を記録し、当然マイナスになった場合も大きな影響が出ています。

(なお、レバナスは2018年の10月に商品が売り出されているため、他の指標との比較を2018年末からの3年間で行いました。また、レバナスは円建て、S&P500、NASDAQ100はドル建てベースですが、為替は考慮せず単純比較しています。)

 今年の頭にレバナスに1000万円投資していたら、400万円近くまで下落してしまっていたことを考えると、保有するのにはかなりの度胸がいりますね。

相場の下落局面では当然弱い

 上記のように、2008年のリーマンショック以後、2021年までの上昇が長く続くような相場であれば市場よりも高いリターンが期待できる一方で、今年2022年のようなFRBの金融引締め下にあって全体として相場が下落傾向にあるような状況だと資産がかなり目減りしてしまいます。

相場が横ばいでも資産が逓減する場合もある

 また、相場が上がったり下がったりを繰り返す横ばいの局面でも、理論的にはレバナスはNASDAQ100にパフォーマンスで負けてしまう可能性があります。これは、例えばNASDAQ100が1年後に10%上昇、2年後に10%下落した場合、

 NASDAQ100は
 (1+10%)×(1-10%) → 2年後に99%、つまり1%の下落

 で済みますが、

 レバナスはこれに2倍の効果が生じるため、
 (1+20%)×(1-20%) → 2年後に96%、つまり4%の下落

 といったように、資産が参照している指数より目減りしてしまうためです。

 レバナスを含むレバレッジ型の投資信託などには、このように資産が逓減していく性質があることから、実際に金融庁も長期投資には不向きとして注意喚起を行っています。

 こういった性質をよく理解しておかないと、結構人気のYouTuberが進めていたし、手っ取り早く資産形成できそうだから買ってみたものの、自分が考えていたよりも、そして(ここが心理的に辛くなるのですが)、市場、つまりは他の個人投資家よりも下落が大きく精神的に辛くなってしまい、資産を大きく減らしてしまい退場して帰ってこれなくなることも考えられます。

買うなら長期的に上昇が見込まれる局面

 私もそれなりに資産が目減りすることにはある程度慣れていますが、レバナスは特に精神的な負担が大きい投資であることから、今のような不安定な市場環境では心が持たないなと考えているため、直近ではレバナスへの投資は考えていません。
 ただし、将来的に市場環境が上向いてくるような状況、例えばFRBの利上げがストップすると見込まれている2024年辺りからは、長期的に相場が上昇していく可能性もありますので、その際は資産の一部を入れることも考えています。

 もちろん相場はこの先どうなるかは誰にも分からないので、それでも今からレバナスに投資して大きいパフォーマンスを狙う選択肢もあると思います。

 ですが、投資は退場をしないことが大事ですので、これから投資を始める方で、下落局面で落ち着いていられないと思う方は、
 〇 まずはインデックス型等の一般的な投資信託を中心に置く
 〇 レバナスに投資するとしても資金の一部に留める
 といった始め方が、投資を継続することで経験を積んでいく上では良いのではないかと考えています。

 なお、このような長期的な視点でのレバナス投資について、YouTuberの「レバナス一本リーマン」という方が、いつ投資するべきか、その根拠や判断指標も交えながら動画を作成されています。非常に面白い内容なので、興味のある方は是非ご覧になってみてください。

※この記事に記載した内容はブログ運営者の個人的な意見やアイディアを述べたものであり、専門的なアドバイスを示すものではありません。特定の銘柄への投資を推奨するものではなく、投資の判断・実行は自己責任でお願いします。