米国中央銀行による利上げなどの金融引き締め政策により、2022年の米国株式市場は大きな打撃を受けました。
とはいえ、米国は引き続き長期的な経済成長が見込まれており、むしろこうした景気の波は経済が正常に稼働していることの現れともいえます。
特に、最近は金利の影響を受けやすい「グロース株」が大きく落ち込む中で、「バリュー株」や「高配当株」などの底堅い銘柄に注目が集まっており、
米国株に挑戦したいけど、値上がりを狙うのは難しそうなので、まずは配当金で着実に収入を得たい!
だけど、書籍やメディアで紹介される高配当銘柄は多すぎて選べない。。。
という方は多いのではないでしょうか。
実際に、米国には50年以上にわたって配当を出し続け、かつ毎年増額している連続増配銘柄を始め、たくさんの高配当銘柄が存在しますから迷ってしまいますね。
そんな方向けに、今回の記事では、米国高配当株の選び方のコツについて分かりやすくお話し、そのコツを使って実際に私が投資をするならこれ、という高配当株を紹介したいと思います。
この記事を読んでいただくと、
- 高配当も狙える株を選ぶコツを理解して、今後自分でも選べるようになる
- 2023年の最新情報に基づく、おすすめの高配当銘柄情報を知る
ことができます。
是非、最後まで読んでいただければありがたいです。
簡単な自己紹介
ブログ運営者のYYです。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国個別株やインデックスの長期投資を中心に運用しています。会計士の知識を生かした個別株の銘柄分析や、自身の失敗を踏まえた長期投資での気づなど、役立つ情報をブログにまとめていますので、よろしければ他の記事もご覧になってください。
● 私の投資スタイルと運用額について↓
● 高配当株によくある「減配リスク」を避けるために↓
● もっと高配当銘柄が知りたい!という方へ。オックスフォード無料インカムレター↓
高配当株を選ぶコツ
まず、株式投資にはチャート分析やファンダメンタル分析など、様々なアプローチがあるのと同様、高配当株の選び方についても色々あると思います。
この点、私の投資スタイルとして、基本的には株価上昇によるキャピタルゲインを中心に狙いながら配当がもらえれば良い、という姿勢で考えています。
そのため、私が高配当株を選ぶ際は、以下の3つの視点で問題が無いか確認して投資しています。
Point 1. 業績が長期にわたって伸びている
Point 2. 株価の上昇が見込める
Point 3. 配当利回りが高過ぎる銘柄は避ける
それぞれについて、具体的に解説していきます。
Point 1. 業績が長期にわたって伸びている
まず、業績が長期にわたって伸びていること、具体的には、純利益やフリー・キャッシュ・フロー(営業活動から生じたキャッシュから事業継続に必要な支払いを引いた、自由になる資金。以下「FCF」)が順調に伸びていることが必須条件です。
これはご存じの方も多いと思いますが、なぜかというと、
配当は企業が稼いだ利益から捻出される。業績が出ていない、特に純利益やFCFが少ない又はマイナスだと、配当金の減額や支払停止となる可能性が高くなる
からです。
せっかく高配当を狙う以上、その配当が今後もきちんと支払われそうか、純利益やFCFの過去の推移を見ておくことをおすすめします。
例えばYahoo Financeでも各銘柄の過去数年間のデータは見られるので、もし調べ方が分からない方は、下のYahoo Financeでの調べ方を見てみてください。
1)Yahoo Financeで調べたい銘柄のティッカーを入力する
2)銘柄のサマリーページが出てくるので、「Financials」をクリックする
3-1)純利益:
「Income Statement(損益計算書)」が表示されるので、「Net Income(純利益)」を確認する。
※下の場合、2021年までは増加、2022年に減少していることが分かる
3-2)フリー・キャッシュ・フロー
①「Cash Flow」をクリックする。
②一番下にFCFが載っている。
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Point 2. 株価の上昇が見込める
また、株価の上昇が見込める銘柄であることも重要です。
これは、
● いくら配当金狙いであっても、株価上昇による売却益が大したことが無ければ投資として本末転倒
● 売却せず保有し続けるとしても、株価が長期にわたって下がっている場合、ビジネスに何らかの問題が生じて投資家が見切りを付けている可能性があり、のちのち減配やさらなる株価下落が生じるかも知れない
ためです。
そのため、概ね過去10年間くらいの推移を見てみて、米国株式の代表指数であるS&P500とどれくらいパフォーマンス(株価上昇率)が異なるかは知った上で購入した方が良いです。
例えば、配当利回りが5%の銘柄Aに100を投資し、株価はその後10年間一定で毎年配当を再投資すると仮定した場合、その株の価値は10年後に約163になります(+63%のパフォーマンス)。
この間、S&P500の上昇率が仮に+100%であった場合、銘柄AはS&P500と比較してパフォーマンスが37%悪く、機会損失が生じていることになります。
(税金は考慮せず)
このように比較することで、この高配当株に投資する意味はあるのか、むしろS&P500指数を買うとか、他の配当利回りが低くても株価上昇が狙える銘柄を検討することができます。
(配当を生活資金に充てることを目的に保有するなら、また見方は変わると思います)
配当利回りが高過ぎる銘柄は避ける
3つ目は、配当利回りが高過ぎる銘柄は避ける、という点です。
詳しくはこちらの記事で書いていますが、簡単に言うと、
で示されます。
配当利回りが高い場合、①の配当が高いパターンと、②の株価が低いパターンが考えられます。
①は、成熟産業では、残余利益を事業投資よりも配当などの株主還元に充当することはよく見られるため、それほど問題になりません。
一方で、②については、
ビジネスに何らかの懸念があって株価が低くなっており、結果として配当利回りが高く見えている(将来業績が下がり、減配するリスクがある)。
場合があります。
①のケースもあるため、一概に全ての高配当銘柄が危ない訳では無いのですが、個人的には、配当利回りが5%を上回っている銘柄については注意が必要だと思っています。
こういった銘柄についても、やはり過去の業績を確認したうえで、投資するかを決めた方がよいですね。
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実際に探してみよう
では、上記の3つのコツを使って、今高配当株を選ぶとしたらどんなものがあるか、実際に直近のデータを使って探して選んでみたいと思います。
銘柄の探し方(抽出条件)
今回は、安定して配当が支払われていて減配になる可能性ができるだけ低い銘柄を選びたいと考えたため、米国会社四季報(2022秋冬号)に記載されている、連続増配年数トップ50を対象にしました。
※探し方については、この方法以外にも、配当利回りが高い順から選ぶなど、やり方はあると思いますので、あくまでも参考としてご覧ください。
(東洋経済新報社「米国会社四季報2022秋冬号」より)
① 過去の株価上昇率を比較ポイントにする
次に、このうちどの銘柄について「Point 1. 業績が長期にわたって伸びている」か、また「Point 2. 株価の上昇が見込める」か確認するため、過去10年間における株価の上昇率を比較します。
- ここでは簡易的に、株価が上昇している=業績が伸びているものとみなしていますが、実際に投資する場合は、1株当たり純利益やフリーキャッシュフローなどがきちんと増え続けているか、確認した方が良いです(Point 1.の説明参照)。
- 株価上昇率を見る期間は、将来何年間株式を保有するかによって変わります。
- 今回は10年を目安にしましたが、例えば、老後に向けて20年間は保有するつもりであれば、さらに長い期間の株価上昇率で見た方が良いと思います。
(見る期間によって、S&P500指数や他の銘柄と比較した相対的な上昇率は大きく変わる可能性があります)
下は、先ほどの50銘柄について、横軸に2023年3月時点での予想配当利回りと縦軸に過去10年間の株価上昇率をとったグラフです。
なお、目安としてS&P500指数の過去10年間における上昇率(約150%)も示しています。
これを見ると面白いのが、予想配当利回りと株価上昇率が見事に逆相関の関係になっている点です。
つまり、予想配当利回りが高いほど株価上昇率は低くなり、逆に予想配当利回りが低いほど株価上昇率がど高くなっています。
(予想配当利回りが高いと株価上昇率が低い「因果関係」があるわけではない点に留意)
これは、予想配当利回りの計算における分母が株価であるため、当然なのですが、少なくとも、株価が10年前よりも下がることで予想配当利回りが相対的に高くなっている銘柄(例:スリーエム、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスなど)は、業績面で何らかの問題があって株価が落ち込んでいる可能性があり、注意した方が良さそうです(Point 3. 配当利回りが高過ぎる銘柄は避ける)。
② 投資候補を絞り込む
ここからは好みにもよるのですが、私の場合はS&P500とそれほど変わらないリターンも得つつ、2%以上の配当利回りは得たいと思うので、目算ですが、オレンジの円の中にある銘柄から投資対象を選びます。
その中でも、あまり自分が詳しくない銘柄は避けたいと考えると、投資候補としては次の3銘柄になりました。
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私が選ぶ配当株
私が選ぶ3銘柄はこちらです。
❶ マクドナルド(一般消費財、レストラン)
❷ ジョンソン&ジョンソン(ヘルスケア、医薬品)
❸ プロクター・アンド・ギャンブル(生活必需品、家庭用品)
個人投資家の間ではメジャーな株ですので、高配当株が好きな人だと、3つとも保有しているかも知れませんね。
① マクドナルド
まず一つ目がマクドナルド(MCD)です。
業種 | 一般消費財、レストラン |
予想配当利回り | 2.29% |
過去10年間の株価上昇率 | 160%(同期間のS&P500は150%) |
比較的高めの予想配当利回り2%をキープしつつ、S&P500指数を上回る株価の上昇を見せている、高配当・高成長のバランスの良い銘柄だと考えています。
(SBI証券ホームページより。10年前を100とした場合の株価の推移。以下同様)
また、同社は経営するハンバーガーチェーンを2010年代からフランチャイズ方式に切り替えていくことで、高収益を安定して出せる体質に変わりつつあり、今後も業績が伸びることが期待されています。
別の記事で詳細な分析をしていますので、ご覧になってください。
● マクドナルドの詳しい銘柄分析はこちら↓
② ジョンソン&ジョンソン
二つ目が、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)です。
業種 | ヘルスケア、医薬品 |
予想配当利回り | 2.96% |
過去10年間の株価上昇率 | 75%(同期間のS&P500は150%) |
ジョンソン&ジョンソンは、過去10年間では株価上昇はS&P500に及ばないものの、予想配当利回りは3%近くあり、魅力的だと考えています。
医薬品やコンシューマー・ヘルス等を中心に構成される、景気後退に強いといわれるディフェンシブ銘柄であり、今後の株価にも期待しています。
2022年末辺りから株価が大きく落ち込んでいますが、むしろ買いのチャンスではないかと思います。
● ジョンソン&ジョンソンの詳しい銘柄分析はこちら↓
③ プロクター・アンド・ギャンブル
よく出てくる王道銘柄で申し訳ないですが、最後はプロクター・アンド・ギャンブル(PG)を推したいと思います。
業種 | 生活必需品、家庭用品 |
予想配当利回り | 2.66% |
過去10年間の株価上昇率 | 80%(同期間のS&P500は150%) |
高配当銘柄といえばこれ、というぐらい有名な生活必需品銘柄ですね。
ジョンソン&ジョンソンと同じく、景気後退期に強いディフェンシブ銘柄として人気です。
まとめ
今回は、米国高配当株を選ぶ際のコツ3つとともに、実際の直近データからコツを使って選ぶ方法をお話しました。
高配当銘柄についてもっと知りたいという方は、下のオックスフォードが発行する無料メルマガを見ると、投資の幅が広がって良いかも知れません(リンク先から登録できます)。
他にも個別株投資で有用な情報を発信していますので、是非ご覧ください。
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※この記事に記載した内容はブログ運営者の個人的な意見やアイディアを述べたものであり、専門的なアドバイスを示すものではありません。特定の銘柄への投資を推奨するものではなく、投資の判断・実行は自己責任でお願いします。